プロレタリア革命きり開く障害者解放闘争の路線提起
『障害者解放』第4号
障害者解放と労働者解放は一体
国鉄決戦がこじ開けてきた階級的労働運動を全産別・全戦線で推進し、新自由主義と徹底対決する中で、大恐慌をプロレタリア革命に転化する闘いにとって障害者解放闘争は労働者階級の団結をいかにかちとり拡大するのかという、きわめて実践的な課題になってきています。『障害者解放』第4号が訴えていることの第一は、障害者解放闘争のルーツこそ資本主義打倒に立ち上がる労働者解放闘争にほかならないということです。障害者解放闘争は「障害者は労働者階級である」という叫びをつかんできました。障害者は分断されてきた労働者であり、障害者が現在的に労働しているか否かではなく、資本の分断によって障害者と呼ばれてきた、あるいは障害者として登場しなければ生きられないという限りで、すでに労働者階級であることを鮮明にさせています。
歴史的にも障害者はまず最初に労働から排除されてきたのではなく、支配階級はあらゆる人間を労働に駆り立て、死ぬまでこき使い、合理化を強い、障害者を生み出しながら、直接の生産階級である労働者階級から搾取・収奪するために抑圧体制を護持してきたのです。この中で障害者も、家族や支援者と一体でどちらの階級につくのかが問われてきました。はっきりしていることは、階級闘争だけが人間の尊厳を守る歴史を切り開いてきたということです。
資本主義は、封建制と闘い、労働力の商品化・商品経済化を推し進めるために「自由・平等・博愛」を掲げ、ブルジョア的権利を拡大してきました。しかし、障害者も含めて全人間が解放される時代を切り開くのは、やはり「資本家による私的所有と分配」を原理としたブルジョア社会を打倒するプロレタリア革命以外にないのです。
資本主義・帝国主義の時代、障害者は「世界人口の10分の1」と言われています。帝国主義段階において、労働者階級は世界戦争を阻止し、ロシア革命を生み出しました。資本はその予防反革命として、国家独占資本主義政策のもとで福祉や社会保障を打ち出しました。福祉や社会保障も階級闘争の産物です。資本や国家へのお願いや依存ではなく、社会の真の主人公である労働者階級の手に全面的に社会的生産を取り戻さなければなりません。
障害者への隔離・選別・排除は、労働者を過労死に追いたてる競争・団結破壊と表裏一体で強まってきました。労働者階級を分断し対立をあおるこうした攻撃に打ち勝つためには、今日の非正規職撤廃闘争と同様、個別の権利獲得運動に切り縮めるのではなく、階級的団結を打ち固める団結回復の共同闘争が据えられなければなりません。
障害者にとっても、資本依存の体制内障害者運動から決別するためには階級移行が必要です。障害者解放闘争を団結形成の闘いとして再出発させることは、労働者階級を労働者階級として形成しようとする労働運動にとっても、まったく同様の課題です。
血債主義と決別し階級的団結を
「血債」を枕詞に、労働運動や障害者解放闘争を労働者の自己解放闘争ではなく体制内的にゆがめてきたあり方、スターリン主義が労働者国際連帯=世界革命を放棄して民族主義的、糾弾主義的にその裏切りを正当化してきたあり方からの根底的決別が求められてきました。「夏山論文」は、こうした血債主義やスターリン主義と闘うことが、マルクス主義を取り戻し階級闘争を進める上で今日も喫緊の課題であることを訴えています。
第二に新自由主義との徹底対決が求められているということです。
「朝霧論文」に鮮明ですが、福祉は1990年代以来、完全に「もうけのための福祉」に転換しています。株式会社が参入し、公務員減らしと民営化を促進した障害者自立支援法(現・総合支援法)と一体で「障害者ビジネス」があおられ、作業所がその下請け機関に変えられようとしています。低賃金・無権利のヘルパーを増大させ、外注化と一体で障害者就労が促進されています。
2011年に改訂された障害者基本法では、「障害者の消費者としての保護」という項目が書き加えられました。これは、「消費者にもなれず働けない障害者」は早晩「保護すべき障害者ですらない」として、障害者を切り捨て、抹殺する攻撃を強める論理に発展していきます。
『障害者の経済学』(中島隆信著)は、「能力のある障害者を一般就労へと結びつけるためにはどうすればよいのか」「ビジネスとは無関係の世界に生きてきた従来型の福祉施設にとって根本的な発想の転換が必要」などと提言しています。また、キリン財団や船舶振興会などとともにNPOや障害者団体に多大な基金を提供してきたヤマト運輸などがリーダーとなって、外注化促進のテコとしての障害者就労が叫ばれてきました。
「福祉を変える経営」の名のもと、「運営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な小規模作業所や公的に運営されている授産施設に経営感覚を持ち込むこと……このビジネスモデルは、パン製造の工程で熟練を要する生地の製造は外注し、焼き上げの工程も自動制御のオーブンという自動化によって、労働市場では競争力が劣る障害者の労働力の量と質の不利を補い……」(小倉昌男著『福祉を変える経営―障害者の月給1万円からの脱出』)とさえ言われているのです。
(『障害者解放』第4号 発行 障害者解放編集委員会 頒価 200円)
第二に新自由主義との徹底対決が求められているということです。
「朝霧論文」に鮮明ですが、福祉は1990年代以来、完全に「もうけのための福祉」に転換しています。株式会社が参入し、公務員減らしと民営化を促進した障害者自立支援法(現・総合支援法)と一体で「障害者ビジネス」があおられ、作業所がその下請け機関に変えられようとしています。低賃金・無権利のヘルパーを増大させ、外注化と一体で障害者就労が促進されています。
2011年に改訂された障害者基本法では、「障害者の消費者としての保護」という項目が書き加えられました。これは、「消費者にもなれず働けない障害者」は早晩「保護すべき障害者ですらない」として、障害者を切り捨て、抹殺する攻撃を強める論理に発展していきます。
『障害者の経済学』(中島隆信著)は、「能力のある障害者を一般就労へと結びつけるためにはどうすればよいのか」「ビジネスとは無関係の世界に生きてきた従来型の福祉施設にとって根本的な発想の転換が必要」などと提言しています。また、キリン財団や船舶振興会などとともにNPOや障害者団体に多大な基金を提供してきたヤマト運輸などがリーダーとなって、外注化促進のテコとしての障害者就労が叫ばれてきました。
「福祉を変える経営」の名のもと、「運営基盤が脆弱(ぜいじゃく)な小規模作業所や公的に運営されている授産施設に経営感覚を持ち込むこと……このビジネスモデルは、パン製造の工程で熟練を要する生地の製造は外注し、焼き上げの工程も自動制御のオーブンという自動化によって、労働市場では競争力が劣る障害者の労働力の量と質の不利を補い……」(小倉昌男著『福祉を変える経営―障害者の月給1万円からの脱出』)とさえ言われているのです。
(『障害者解放』第4号 発行 障害者解放編集委員会 頒価 200円)
昨今の障害者差別禁止法(差別解消法に改称)制定の動きも、障害者への差別撤廃ではなく「障害による差別の禁止」という概念で労働者全体の就労動員・消費者動員を図ろうというものです。福祉の自己責任化を狙う「成長戦略」と一体の社会保障解体攻撃です。
合同労組に結集して闘いぬこう
第三に、障害者は合同労組(労組交流センター)に結集して闘おうということです。労働者と団結し、社会の根本的変革をめざして闘う。そればかりか労働運動が持っている可能性にかけ、地域を獲得し拠点を建設し労農同盟-ソビエトを展望する。その展望をかけて労働者党を建設し、労働組合と一体的に発展させましょう。
『障害者解放』第4号は、実際に障害者作業所の中で労働組合をつくり闘っている挑戦を紹介しています。あるいは実際に就労支援B型という作業所で労働組合を立ち上げて、「障害者が労働組合を結成したがゆえ」の弾圧と闘っている仲間にも触れています。共通することは、「障害者は労働者ではないから組合は認めない」「団交要求や組合ビラを配布しないと誓約をするなら入所契約を更新してもいい」というような、障害者に固定化を強いてきた壁を突破し、労働者の団結を取り戻す先頭に障害者が立っているということです。
新自由主義は資本の増殖のために障害者と体制内障害者運動を「活用」し始めています。安倍の「成長戦略」を粉砕する闘いの先頭で、障害者解放闘争を切り開くべく、団結して立ち上がろうではありませんか。(岩崎 泰明)