5・25芝公園 TPP反対で2000人デモ
三里塚と農民会議が合流
〈下〉デモに出る三里塚反対同盟・現闘と全国農民会議の小川浩さん(左から2人目)ら
〈上〉芝公園での集会)
三里塚と農民会議が合流
〈下〉デモに出る三里塚反対同盟・現闘と全国農民会議の小川浩さん(左から2人目)ら
〈上〉芝公園での集会)
TPPは日米争闘戦の激化と対中国の安保=戦争の大攻撃
労働者・農民の生活破壊に反撃を
安倍自民党政権はTPP(環太平洋経済連携協定)参加に向かって攻撃を強めている。それは安倍が言うような「アジア・太平洋の『未来の繁栄』を約束する枠組み」(3・15TPP交渉参加表明)ではまったくない。TPP参加は、日米争闘戦の激化と対中対峙・対決政策のもと、「1%」の独占的大資本の利益のために、「99%」の労働者階級人民の労働と生活を破壊し、貧困にたたき込む攻撃である。大恐慌下の新自由主義攻撃であり、大失業・戦争の攻撃である。絶対に阻止しよう。勝利の力は階級的労働運動と国際連帯の前進にある。闘いの前進をかけて6・9国鉄闘争全国集会に大結集しよう。大恐慌下に米帝がブロック化を推進
TPPは単なる自由貿易交渉ではない。ものの輸出入にかかる関税だけが問題なのではない。投資の自由化、そのための規制緩和、特許権、知的財産権など広範囲にわたり、影響は全産業・企業、労働者の労働と生活、食品安全、医療と保険、教育・学校、地方自治など社会生活の全分野に及ぶ。それらがすべて、資本家の金もうけのために大きく変えられようとしている。「命よりもカネ」の新自由主義の極限的攻撃である。何よりもTPPは、世界大恐慌のもとで歴史的没落にあえぐアメリカ帝国主義の、生き残りをかけた激しい争闘戦政策、ブロック化政策である。他帝国主義、とりわけ日本帝国主義からアジア市場(日本を含む)を奪い、アジアを米帝の排他的勢力圏として打ち固めようとしている。日帝はこの米帝の争闘戦政策に根底から揺さぶられ危機を深め、その対応に全力を挙げている。
米日帝は今、株価の高騰を大宣伝しているが、これは超金融緩和政策のもとでの株式バブル・資産バブルそのものである。それは必ずバブル大崩壊を引き起こし、世界大恐慌の本格的爆発を引き起こす以外にない。
こうした危機の中で米帝は今や、基軸国として世界経済をどうするかという立場をかなぐり捨て、露骨に自国の利益のみを追求する政策に突き進んでいる。オバマは米製造業の強さを復活させ、米国を輸出国家として再建し、絶対的強者として米帝国主義を再生するという方向を強烈に打ち出している。また、金融資本の力を駆使して他国の資本・企業を乗っ取り、自国の力に転化しようとしている。そのために軍事体制を強化し、対中国の戦争体制をアジア・太平洋に構築し、最終的には中国をソ連のように解体することを狙っている(12年発表のアメリカの新軍事戦略)。
TPPはこの新軍事戦略と一体の帝国主義的通商政策である。アメリカ式ルールの中に日帝を引きずり込み、日帝の内外の勢力圏、権益を最大限抑え込み、米帝がそこに割り込み奪うことを狙っているのである。
日帝は独占大企業の絶望的延命狙う
TPPがこのような米帝の露骨な争闘戦政策の展開であることが明白であっても、日帝は延命のためには、これに参加する以外にない。ここに絶対に突破できない日帝の脆弱(ぜいじゃく)性がある。安倍は「今がラストチャンス。この機会を逃せば、日本は世界のルールづくりから取り残される」(3・15記者会見)と、争闘戦敗退への危機感を露骨に表明している。どれほど国内に反対が強くても日帝はTPP問題をパスすることはできない。米帝との経済関係、貿易・投資の関係、安保同盟関係を抜きには、日帝の帝国主義体制が成り立たないからである。日帝の帝国主義的基礎はそれほどにも脆弱である。大恐慌のもとで全世界的に争闘戦が激化している中では、日米関係をベースとして米帝の引いているルールの枠内に大きくのめり込む以外に、日帝は延命の方法がないのである。
そこで日帝・安倍は、米帝の要求がどれほど日帝の戦後体制との矛盾・衝突を生むことがあろうとも、それを暴力的に突破し、独占的大資本の延命のためにTPPに参加し、その枠内で日帝の帝国主義的延命を必死に追求しようとしているのである。
GDP(国内総生産)世界1位と3位の米日の巨大な経済ブロックの形成は、米・日・欧(EU)・中国・ロシアなどの市場・資源・勢力圏をめぐる争い、世界再分割戦を一層加速させるものとなるだろう。さらに日米の間でも、資本の生き残りをかけた日米対立、日米争闘戦が決定的に激化していく。こうした対決は、帝国主義がプロレタリア革命によって打倒されない限り、必ず侵略戦争―世界戦争に行き着くものである。
TPPはそれ自体が対中対峙・対決を貫く日米安保同盟政策だ。それゆえ日帝は対米争闘戦で後れを取らないために、安保=軍事政策上ですさまじい反動的飛躍を遂げようとしている。
安倍政権が今、辺野古新基地建設や集団的自衛権への踏み込み、防衛予算の増額や武器輸出、自衛隊の南西展開や日本版海兵隊の新設などに突き進んでいるのは、このようなTPPをめぐる日米争闘戦の激化をも根拠としている。そしてこれは改憲攻撃を切迫した課題としている。
TPPへの日帝・安倍の踏み切りは60年安保、70年安保をも超える日米安保の大改悪である。7月参院選で安倍・自民党は「改憲」を公約に掲げて臨もうとしている。この重大情勢を真っ向から見据えて闘おう。
階級的労働運動と国際連帯で勝利へ
TPPは労働者階級・農民・人民に何をもたらすか。日帝は、米帝との死闘に勝ち抜くために、一切の矛盾・犠牲を労働者階級人民に押しつけようとしている。日帝のTPP参加は、日帝ブルジョアジーによる労働者階級人民に対するすさまじい階級戦争の宣言である。TPP交渉は21分野(表参照)と言われるが、ISD(投資家対国家の紛争解決)条項ひとつとっても、資本家の利益のために法律や規則が大きく変えられる可能性がある。実質的な改憲攻撃そのものだ。
TPPの影響は、私たちの労働と社会生活の全分野に及ぶ。労働者階級に対しては日帝はTPP参加をもテコに、公共部門の民営化、公務員への雇用・賃金破壊、外注化・非正規職化、さらに全産業分野での解雇「自由」化、超長時間労働化など、この間進めてきた「規制緩和」の大攻撃を一段と強めようとしている。
農業や医療に壊滅的な打撃
農民に対してはどうか。コメや酪農やサトウキビなどの農業は壊滅的打撃を受けるだろう。医療では混合診療の解禁、株式会社の病院経営解禁などで医療保険制度は骨抜きにされる。貧困な労働者家族から医療が奪われ、医療労働者は一層の賃下げと労働強化、非正規職化にさらされる――このようにすべての分野が米日資本の金もうけの対象とされ、競争があおられ、「格差は当然」「国際競争に勝てないものは滅びて当然」というイデオロギーが振りまかれる。絶対に許せない。これに対して連合は、「わが国の経済成長と雇用創出をはかる上で、経済連携の推進は重要な政策課題」(3・18事務局長談話)などと、TPPに基本的に賛成しているありさまである。また日共スターリン主義は、TPPを「アメリカのいうままに譲歩を重ね、日本を丸ごと売り渡そうとしています」「アメリカ言いなり政治」(志位委員長)などと描きあげている。これは、日帝資本の攻撃を免罪し、ストライキを含む労働者の闘いに敵対するものである。
日帝・資本が最も恐れているものは、労働者の団結した闘いだ。国鉄闘争は、日帝の改憲攻撃とTPPの前に大きく立ちはだかっている。TPPに対する怒りと絶対反対の声は全国にあふれている。国鉄闘争とこの怒りが大きく結びついた時、TPPは絶対に阻止できる。階級的労働運動と労働者国際連帯の力で阻止しよう。6・9国鉄闘争全国集会に大結集しよう。
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影響は全分野に及ぶ TPPで交渉する21分野
1.物品市場アクセス(関税)
2.原産地規則(関税の減免対象)
3.貿易円滑化(税関手続き)
4.衛生植物検疫(輸入食品)
5.貿易の技術的障害(製品規格)
6.貿易救済(セーフガード等)
7.政府調達(地方を含む入札)
8.知的財産(保護、取り締まり)
9.競争政策(カルテル防止)
10.越境サービス貿易
11.商用関係者の移動(出入国管理)
12.金融サービス(ルールづくり)
13.電気通信サービス(ルール)
14.電子商取引(ルールづくり)
15.投資(ISD条項)
16.環境
17.労働
18.制度的事項(協定の運用協議)
19.紛争解決(解決手続き)
20.協力(人材・技術支援)
21.分野横断的事項(規制緩和)
2.原産地規則(関税の減免対象)
3.貿易円滑化(税関手続き)
4.衛生植物検疫(輸入食品)
5.貿易の技術的障害(製品規格)
6.貿易救済(セーフガード等)
7.政府調達(地方を含む入札)
8.知的財産(保護、取り締まり)
9.競争政策(カルテル防止)
10.越境サービス貿易
11.商用関係者の移動(出入国管理)
12.金融サービス(ルールづくり)
13.電気通信サービス(ルール)
14.電子商取引(ルールづくり)
15.投資(ISD条項)
16.環境
17.労働
18.制度的事項(協定の運用協議)
19.紛争解決(解決手続き)
20.協力(人材・技術支援)
21.分野横断的事項(規制緩和)