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9月徳島面会日記
星野暁子
9月1日、杉並で前日までやっていた文昭の絵画展の報告をした。「穏やかで、やさしく美しい。すばらしい。」と言う感想。詩も感動したという人がいて、「自分の書いている現代詩は、いったい何だったんだろう」と言っていた人。「安倍政権はつぶれる。そうすれば星野さんも解放される」との感想も伝えた。
カレンダーに必要なあと一枚の絵は、「米沢の百合園にしようと思っている。シルバーウィークに描こうと思っている」と文昭。「忙しい日々、暁子を癒すために」などと書いて寄こしていた絵の表紙は、先月から禁止になった。残念だ。刑務所は、なぜ人の気持ちを引き裂くようなことばかりするのだろう。
文昭は、8月におこなわれた全国10箇所の絵画展全部のビラをほしがった。大阪の八尾では、毎日佃さんが会場へ通ってくれたことを喜んでいた。栃木では、文昭が知っている「大橋さんが中心にやってくれてうれしかった」と言っていた。宮城では高経出身の野田さんの奥さんと鈴木さんからたよりがあったと言う。大阪・豊中の南谷さんからは、水道の組合に署名を頼んで、2組合から百数十の署名を送ってくれたそうだよ」と文昭。「三里塚の闘い、僕にとっては大きい。成田での絵画展、どうだったんだろう。」三里塚反対同盟のみなさんも見にきてくれたことを伝えた。
6日の徳島刑務所包囲デモへの口答でのアピールには、「星野と国鉄が切り開いてる力をもってすれば、安倍政権倒せる。その力で闘えば、星野奪還も可能だ」とあった。
2日、2回目の面会。「獄壁が薄くなったのを感じているよ」と文昭。「最近、みんなとの一体感を感じるようになっている。情勢がそうなっているということもある。戦争に向き合って闘うことの素晴らしさ。それによってみんなが未来に希望を持てる素晴らしさ。みんなが星野に出会って、星野闘争を核にして頑張っている。ひとつに団結している素晴らしさ。世界的に見ても、戦争は労働者民衆を分断することなしには進まない。分断を乗り越えて闘えば、彼ら(権力)は破綻するしかない」と文昭は言った。
4日、4回目の面会。革共同の天田書紀長が面会にきてくれた。文昭に会うのとはできなかったが、思いは十分に伝わっている。
「みんなの顔も思い浮かぶ。『今日も一日頑張ろう』というのが、毎朝の目標になっている。全世界の労働者人民とも一体感を感じるようになっている。同じように新自由主義の攻撃と闘っているからね」こういう気持ちになったのは、最近のことだと言った。
7日、5日目の面会。徳島刑務所包囲デモの翌日、差し入れ行動に参加した20人の人たちといっしょに徳島刑務所に向かった。この日は、弟の修三さん、連れ合いのゆかりちゃんもいっしょに面会に臨んだ。今回は、前回断られたゆかりちゃんも許可になり、面会することができた。
文昭に昨日のみんなの声が聞こえたかどうか尋ねると「「聞こえたよ。不当逮捕された街の二人のアピール、『星野さんに続いて、完黙非転向で闘えた。星野さんがいるから闘えた』というアピール、うれしかったよ。『受刑者のみなさん、頑張ってください』もよかった。「ソリダリティ」も聞こえて歌詞を改めて憶え直した。インターナショナルも聞こえたよ。全部聞こえたわけじゃないけど、うれしかったよ。」そう、文昭が言った。「文昭。みんなで迎えにきたよ」と私が叫んで、辻川慎一さん、平良修さん、青柳葉子さん、広島のMさん,福崎さん、青年労働者、全国水平同盟の青年が、文昭に直接アピールをしたことを伝えた。みんな泣いていたことも。
「獄壁がだんだん薄くなっているのを感じているよ。今日の行動があってなおさらだよ。こういう情勢になって、戦争に反対して、無期を強いられている星野の闘いと職場、地域での闘いが、ひとつになっている」
弟の修三さんは、「札幌に戻ってから、ゆかりちゃんといっしょに、集会はじめいろんなところに顔を出している 」と話した。「修は、地に足がつかないところもあったけど、ゆかりちゃんといっしょに、地に足をつけて頑張っているようでうれしいよ」と文昭。「修ちゃん」といっしょにパフォーマンスで太鼓をたたいている。修ちゃんが自分なりでいいと言ってくれるので」とゆかりちゃん。楽しい家族面会のひとときになった。
差し入れ行動を終えたみんなが待っていてくれた。文昭にしっかりみんな声が届いたことを報告した。みんな、本当にうれしそうだった。文昭に初めて会った感想を聞かれてゆかりちゃんは、「イケメンでした。すてきな方でした」と一言。
5日間の面会と3日間の充実した闘いを終えた。
フィリピントヨタ労組(TMPCWA) の代表が、日本のトヨタと日本政府に争議解決に向けた介入を求め、また広く日本の人々に理解と支援を求めるために、今年も神奈川と愛知を中心とする支援グループの援助を得て来日しました。組合を結成したことをきっかけに2001年に233名が不当解雇されて以来、15年目となる今回の来日では、エド・クベロ委員長とジェイソン・ファヒラグータン執行委員の2名が、9月26、27日に愛知県刈谷市で開かれたコミュニティ・ユニオン全国交流集会への参加、27日名古屋駅前での宣伝活動、28日トヨタ本社への申し入れと社前行動、30日日本政府NCP(OECD多国籍企業行動指針の普及、問題解決を担う連絡窓口、日本では外務省、経産省、厚労省で構成)への申し入れ、神奈川地域労働運動交流集会への参加、10月1日東京総 行動への参加とトヨタ東京本社への申し入れ、東京総行動を締めくくるトヨタ東京本社前での集会といった日程で行動しました。
私は、昨年に引き続 き主要日程に同行させてもらった関係で、レイバーネットに寄稿することになりましたが、彼らの争議の経緯は、もう14年も闘っているケースなので 長くなることから、末尾に 掲載したリンクからレイバーネットの記事やレイバーネットTVのアーカイブなど を見てくださるようお願いします。また、 最新状況も近々レイバーネットTV や『労働情報』で取り上げられますのでそちらに譲り、個人的に印象深かったことを書かせてもらいます。
まず、コミュニティ・ユニオン全国交流集会での話。何回かのアピール機会のうち、2日目の分科会「グローバル企業・トヨタの足元で」での彼らの報告は大変 興味深いものでした。トヨタ労組が賃上げ要求だけを行う労使協調の日本の御用組合のなかでも、一段と異常な振る舞いをする”組合”であるという報告が続いたのを受けて、彼らもフィリピントヨタの御用組合のあり方を紹介しましたが、「御用組合は、経営側が提供する経済的な便益について、経営側の言い分を一方通行で労働者たちに伝えるだけ」「それどころか、御用組合員たちは経営側の意向を受けて、工場内で労働者が会社に対する不満を口にしていないかどうか監視している。この人的監視網が工場内の隅々にまで張り巡らされているので、労働者はクビになることを恐れ、会社について否定的なことは一切口にできない状態にある」と言っていました。
また彼らは、多国籍企業がフィリピンで働いている悪事は労働者の権利侵害だけではない、と言って、鉱山会社が、先住民の居住地域で地下資源の採掘権益を手に入れるために彼らを殺戮していることを紹介し、南ミンダナオのLumadという先住民の殺害を止めるよう訴えた紙を持って分科会の参加者みんなで写真を撮りたいと訴えました。(私は 彼らの話を聞くまで全く知らなかったのですが、Lumadの人たちの殺戮は、国連も問題視しており、調査団を送ろうとしたもののアキノ大統領が受け入れを拒んだということで、ニュースになっているようです。)自分たちが苦しい闘いを14 年も続けているのに、アピールの機会をさらに苦しい立場にある人々のことを紹介し、彼らへの連帯を訴えることに使った2人の心意気に打たれました。
もう一点は、トヨタが彼らや支援者をどう扱ったか、ということです。フィリピントヨタは不当解雇だけでなく、解雇に抗議するストライキの際に警備員を睨んだことなどをもって、警備員が重大な威圧を受けたと、TMPCWA組合員の一部を刑事告訴していましたが、2013年これを取り下げる羽目に至ったばかりか、 裁判所からダメ押しの「永久却下」という結論を出されています。これだけでも 十分恥ずかしい振る舞いですが、日本のトヨタも負けず劣らずでした。愛知でのトヨタ本社社前行動では、地元の支援団体が準備した、ビラを折り込んだ ティッシュを、出勤するトヨタ社員の人たちに配ったのですが、案の定受け取ってくれた人はほんの少数だけでした。ところが、敷地内に入ってから建物入り口までの通り道のあちこちに立っている社員が、その人たちに飛びかからんばかりにしてビラを取り上げていたのです。このような社員がビラまきをした数ヶ所の近くに計50人ほども配置されていた、と地元の支援者から聞きました。
私たちがいた地点では、ビラ取り上げ要員に気づいたのは、TMPCWAの2人で した。また、愛知本社での申し入れでは、対応した社員の人たちは、最初から、時間は30分のみ、写真は撮るな、録音はするなと連発した以外はろくに口もきかず、渡した要請書にも触ろうともしなかったそうです。(この申し入れ には私は同行していないので、伝聞です。)東京本社の人たちは、要請書を(たしか) 手に取って一瞥し、「お話は承りました」「内容は(社内で)報告します」と言っただけですが、それでもTMPCWAの2人は、「愛知本社の人たち の態度とは大違いだった」と言っていたのですから、愛知の人たちがどれだけ失礼な態度だったかは容易に想像できます。東京本社で私たちに会ったのは総務部の人たちでしたが、今思うとあの人たちは、総務部の中でも総会屋や、おそらく会社への強請り・たかり、脅迫などに対応するセクションの人ではないかと思われます。もと警察官ではないかという気もしました。和民の過労死事件で森さんご夫妻が申し入れをした際、リスク管理部署の社員が対応したと聞いたときには激しい怒りを感じましたが、決して和民が特別だった訳ではないのだ、おそらく多くの企業が労働者の権利を尊重するよう求めてくる者をゴロツキの類とみなしているのだと気づきました。
以上を読んでいただいても、TMPCWAの彼らと、トヨタのどちらがより真っ当か、堂々としているかお分かりいただけると思いますが、最後に、フィリピン政府や国際機関がどちらが真っ当だと考えているか、に言及しておきます。解雇無効の訴訟では、残念ながらTMPCWA側の敗訴が確定している(団交拒否についてはTMPCWAが勝訴したが、解雇無効については、フィリピンの裁判所も、JALの争議において日本の裁判所がしたように大企業側がしていることが明らかにおかしいのに、その大企業の肩を持つ結論を出した)ため、フィリピントヨタは一件決着済みと言い張っているのですが、ILOはその後も、解雇は無効であり、交渉をとおして、復職または、それがどうしてもかなわぬなら適正な補償金によって、衡平な解決 をはかるよう勧告を出しています。これがフィリピン政府を動かし、労働雇用省は公用車の調達対象からトヨタ車を除外し、他の省庁、政府機関にもこれに倣うよう呼びかけるなどの形でTMPCWAへの支援を表しています。 つまり、国際機関やフィリピン政府は、TMPCWAによる権利主張の正当性を認めている、決して彼らや支援者をゴロツキなどとみなしたりしていない、むしろ、 TMPCWAと話し合おうとしないフィリピントヨタの態度がいけないという立場をはっきりととっています。
<参考リンク>
・フィリピントヨタを支援する会サイト