安倍たおそう9・28ぐんま労働者集会
動労連帯高崎 和田山委員長
化学一般昭和高分子労働組合 大谷前委員長
群馬合同労組 エルグ分会
群馬合同労組 須永副委員長
群馬星野文昭さんの再審を実現する会 伊藤さん
行動提起 群馬合同労組 佐藤委員長
基調報告
主催者を代表して群馬合同労働組合の書記長の清水から基調報告をさせていただきます。
まず確認したいことは、7月1日の安倍政権による集団的自衛権容認の閣議決定です。「わが国の存立」が脅かされた場合、「自衛の措置」として軍事力を発動するのだということです。しかし古今東西戦争は常に「国益」のため、「自衛の措置」として発動されてきました。支配階級の利益を守ることを「国益」とし、労働者民衆を暴力的に殺し合いの戦場にたたき込むのです。7・1は紛れもなく「戦争放棄の国」から「戦争をする国」へ、戦後史の歴史的転換を意味します。安倍のクーデター的やり方で、戦後は終わりました。闘わなければ戦後的な権利も、平和も、守ることはできません。安倍を打倒すること。そのためにみんなの力を一つにして起ち上がりましょう。
27年前、群馬から出た中曽根康弘が首相となって、国鉄の分割・民営化が強行されました。高度経済成長が終わり、不況が深刻化する中、公共事業と称して、新幹線を作り、代議士の地元に駅を作り、国鉄をさんざん食い物にした挙げ句、労働者が働かないから赤字になった、国鉄は倒産、新たにJRという民間の新会社を設立する、採用は旧国鉄職員から選ぶけれど、採用枠は3人のうち2人、働かない者は採用しない、そして分割・民営化に反対する労働組合の活動家を「余剰人員」と称して、見せしめのように「人材活用センター」と名付けられたいじめ部屋に集める、「活動家」がいなくなった職場では「働こう運動」の手先が入ってきて「組合を変わらないとJRには残れないよ」と脅しつける。こうした中で最大組合だった国労は一気に少数組合に転落。闘いの方針も出さない中で、200人が自殺に追いやられた。中曽根康弘は、後にこう言いました。「国鉄の分割・民営化をやって国鉄の労働組合をつぶし、労働運動と社会党をつぶす。その後に、自主憲法制定をやる」。これがアメリカのレーガン、イギリスのサッチャーと並んで、日本に新自由主義を導入して戦後の日本をぶちこわし、「日本を不沈空母にする」と大軍拡に走った中曽根の基本戦略でした。
しかしながら、ストライキで闘う労働運動の絶滅になるはずだった国鉄分割・民営化は、動労千葉が単独で2回の大ストライキに起ち上がることによって、逆に全く新たな革命的階級的な労働組合運動の出発点となり、国鉄闘争の長期強靱な、不屈の主体を作り出しました。動労千葉の組合員、さらにこの時に裏切り組合となった動労から分離して起ち上がった、動労水戸、動労連帯高崎、動労西日本の動労総連合の組合員は、全員がクビを覚悟して労働者として真っ当に闘って生きるという歴史的選択をしました。動労千葉のストライキに「飛んで火に入る夏の虫」「全員解雇だ」と豪語した当局でしたが、本州ではあまりの非人間的なやり方に労働者は「こんな会社やめてやる」と希望退職が殺到、定員割れの事態になって「原則全員採用」となり、動労千葉・動労総連合は団結と組織を守り抜きました。そしてJR体制のもとで進行する安全破壊、外注化、非正規職化に対して、「反合理化・運転保安闘争」路線のもとに闘いを作り出し、青年を獲得し、世界の労働者階級の国際連帯の魂の役割を果たしています。9名の見せしめ的な不当な解雇に対して、国労の闘争放棄をも跳ね返して1047名解雇撤回闘争の勝利が切り開かれています。
先ほどのビデオの9月11日の郡山の闘争は、こうした私たちがともに作り出してきた国鉄闘争の今日的な到達点です。外注化、非正規化、戦争、被曝、「ふざけんな!」という青年労働者の怒りとついに結合を開始したのです。
この前の木曜日、NHKクローズアップ現代で「おなかいっぱい食べたい ~緊急調査・子どもの貧困~」という番組が放送されました。ここで「相対的貧困状態」にある子供たちの恐ろしい現実が報じられていました。一日一人あたりの食費の平均が329円、食事は主食だけでバランスある食事がとれない、夏休み給食が食べられなくてやせ細ってしまった、ボランティアやNPO法人の支援で何とか生きている、といった具合です。こうした子供が6人に1人というのが今年の7月の調査結果でした。「相対的貧困状態」とは、所得が全体の真ん中の人の額の半分に満たない状態を言います。今回の調査では中央値は244万円、貧困線は122万円です。所得が122万円というのは「給与所得控除」65万円を加えると一年の収入が187万円。12ヶ月で割ると約156,000円ということです。
群馬県の最低賃金は時給721円。時給721円で一日8時間、月20日働くとすると、月収は115,360円。先ほどの貧困ラインの月収156,000円には全然届かない。児童手当などを足しても全然足りない。生活保護受けた方がいいと言われますが、生活保護を受けるためには、車を手放さなければいけませんから群馬の労働者には問題にもなりません。ちなみに月156,000円を、一日8時間月20日働いて稼ぐためには時給975円必要になります。それでも貧困ラインです。
つまり非正規労働者が一人で子供を育てるのは、絶対に無理だということがわかります。離婚してしまったり、片親が働けなくなったりすると、たちまち食っていけなくなるのが今の社会です。「食っていけなくなる」というのは比喩ではなく、本当に子供たちの食費がなくなり、おかずがなくなる、ということです。
最近郵便局に就職した人の話が新聞に出ていました。40歳過ぎての大卒中途採用で合格し、正社員です。給料が総額で月20万円に届かないそうです。昇給も毎年千数百円程度。面接の際に「安いけど大丈夫ですか?」とさんざん念を押されたそうです。実はこれ、日本郵便が今年から導入した郵政版の「限定正社員」です。従業員10,000人以上の大企業の半分がすでに「限定正社員」制度の導入と年功序列賃金の廃止に突き進んでいます。あわせて解雇規制の撤廃や、残業代ゼロ法による時間による労働管理の見直し、成果主義賃金制度の徹底化などが狙われています。
正規労働者を削減して、安くて使い捨て自由の非正規労働者に置き換える。いまや3人に一人は非正規労働者です。それに加えて、正規労働者自体を非正規労働者並みに、低賃金で使い捨て自由にしてしまおうというわけです。こうした非正規職化、低賃金化が進んだのも、国鉄分割・民営化が転機でした。中曽根は国鉄分割・民営化と同時に派遣法を作りました。
労働者に対する新自由主義の攻撃の中で、もう一つ大きいのは成果主義賃金や人事評価制度です。今年の4月に成立した地方公務員法の改悪では、地方自治体に人事評価制度の導入と評価結果の任用、給与等への活用を義務化しました。大企業は年功序列型の賃金体系を抜本的に解体するとしています。郵便局で働く契約社員は、当局のスキル評価基準の勝手な見直しにより時給が200円も減額されるということが起こっています。こうしたことは、すべて労働者を管理・評価する側と、管理・評価される側に分断し、さらに労働者同士を仲間ではなく、競争相手・敵として分断する攻撃です。職場では、パワーハラスメントやいじめが横行し、新入社員に対して先輩社員が仕事を教えないという、すさんだ現実がはびこっています。労働組合と団結を資本・会社がいかに恐怖し、労働組合と団結の解体がいかに労働者を腐敗させるか、ということです。団結は、生きさせろの叫びです。
そして7・1集団的自衛権の行使容認の閣議決定を受けて、いま青年は、新自由主義の非正規化、貧困と失業の現実の中で、ついに戦場での殺し合いに担ぎ出されようとしています。すでに文科省の有識者懇談会で、奨学金返済滞納者を「防衛省でインターンシップ(就業体験)させたらどうか」という議論がされ、それは防衛省とも連動しているということが「前進」という新聞に報じられています。ベトナム戦争後徴兵制が廃止されたアメリカでは「学資ローン返済プログラム」というのがあって、カード地獄と学資ローンでがんじがらめにされた青年がイラクに送り込まれました。新自由主義が席巻した日米英などは教育費がずば抜けて高額化し、日本の学生も、卒業するときには数百万円の借金を背負わされるのが当たり前になっています。こうした青年が、大失業と非正規職化・低賃金化の中で戦場に送られるのです。「経済的徴兵制」の始まりです。
こうした現実に私たちはどのようにして立ち向かうべきなのか?
昨日、埼玉の大宮で、今日の集会と同じ趣旨で集会が開催され、群馬から私が参加をして連帯のあいさつをしてきました。動労水戸の指導者である副委員長の辻川慎一さんが「命と安全を守る労働組合運動」と題して講演されました。動労水戸は、被曝した列車の検査・修繕に被曝労働拒否を掲げてストライキで闘い、ポケモントレインを使って子供をダシにして安全をキャンペーンし、20キロ圏内の竜田駅まで常磐線の運転再開をして楢葉町民に帰還を強制しようというJRに対して何度となくストライキで闘ってきました。辻川さんは、地震と原発事故によって、福島の人たちは家族や友人の命、土地も建物も田畑も山も、人生のすべてを奪われたんだ、すべてを奪われ仮設住宅で絶望のうちに暮らす被災者たちに対して、政府は20キロ圏内だ、30キロ圏内だ、補償をするしない、補償金はいくらだ、と分断を持ち込み、仮設と避難先住民、仮設の中にまで、ねたみや憎悪の分断をする、仮設で自殺してもニュースにもならない、こんなことは許せない、悪の根源はすべてを奪った原発であり、被曝させ、福島を切り捨てる政府と支配階級じゃないか、青年の未来を奪い、戦争に担ぎ出そうとする安倍じゃないか、こんなものは労働組合が本気で闘い、本気で呼びかけなければダメなんだ、労働組合がこれをやったときに仮設の住民との固い団結が生まれ、楢葉町の帰町宣言・強制帰還を阻止することができたんだと訴えました。この集会には、当時福島第一原発から30キロ圏内のいわき市に住んでいて、現在埼玉に避難をされている70代の女性が参加しておられました。彼女は、そうだ、そうだ、と泣きながら頷いていました。
実は辻川さんの二番目の息子さんが2012年に自殺をしました。3・11で家族で必死になって生き抜いてきた、生き抜いたと思ったら息子が自殺をした。地獄だった。私は青年をこんな自殺に追い込む社会を絶対に許さない、と語りました。
先ほどのビデオの9・11の郡山の闘い、あれは辻川さんの、根底的な労働者としての怒り、執念が作り出したものでもあります。あいまいさを許さない資本主義への根源的怒り、分断や切り捨てを絶対に許さず、ひたすら労働者としての団結を信じ切って、徹底的に原則的に闘うあり方。これこそが、すべてを奪われている青年労働者と団結する唯一の道です。郡山の闘いは、そのことを証明したのです。
青年が学校を卒業してもまともに就職もできない現実、就職できても非正規だったり、ブラック企業だったり、職場では分断と競争で孤独で、生きていくことに希望も持てない現実。3・11で被曝を強制され、声もあげさせないという現実。そのうえに7・1で戦争が煽られ、戦争にかり出される現実が始まった。青年が希望を持てない社会は、すべての労働者・民衆が希望を持てない社会です。国鉄分割・民営化以来の新自由主義は、ここまで社会をぶちこわした。
それなのに、労働組合は、どこで何をしているのか?ということです。電力会社の労働組合は雇用が奪われるからと再稼働を推進する。安倍によって戦争に子供たちを動員する教科書が使われ出しているのに、「二度と教え子を戦場に送らない」と誓ったはずの日教組はどうして闘わないのか。分割・民営化に反対して闘ったはずの国労は、和解に反対してあくまで解雇撤回で闘う組合員の組合員資格を、何故奪うのか。外注化と非正規化によって職場が奪われようとしているのにJR東労組は、なぜ闘わないのか。仲間が、パワハラや団結破壊でクビを切られても、労働組合がなぜ解雇撤回で闘わないのか。
私たちが今日、この集会をもったのは、こんな労働組合の現実を、ここから変えよう、ということです。労働者には力がある、労働者が団結と闘う労働組合を取り戻すことができれば、今の社会、戦争への流れを絶対に変えることができる。動労千葉のように、動労水戸のように、動労連帯高崎と団結して、いっしょに闘っていこう、郡山で燃え広がった炎を、この群馬にも燃え拡げさせよう。すべての労働者・民衆が一つの塊に団結するための核を作りだそう。そうすれば必ず団結と闘いは広がり、希望をもって生きていくことができるのです。
幸い群馬には国鉄闘争を闘う動労連帯高崎という「宝」があります。小なりといえども、すばらしい闘いをこの一年闘ってきた群馬合同労組もあります。すばらしい闘いの歴史と教訓と蓄積をもつ化学一般昭和高分子労働組合があります。それらをひとつにまとめる労働組合交流センターという組織もあります。
この労働組合に結集する仲間は、その自覚と誇りをもって、さらに団結を固めてがんばろう。正規・非正規問わず、職場で悩み苦しみながらがんばっている労働者の皆さん、ぜひ私たちといっしょに闘いましょう。労働者でないみなさんも、この社会を変え、戦争を阻止するためにいっしょに闘いましょう。
具体的に、いくつか、提案します。
一つは、動労連帯高崎をともに組織拡大し、支えるために、力を貸してください。
二つは、国鉄闘争を支援し、勝利するために、国鉄闘争全国運動の群馬の組織を作りたいと思います。
三つに、群馬合同労組に加入してください。
四つに、原発再稼働阻止へ力を合わせましょう。NAZENぐんまの運動を強めたいと思います。
五つに、11・2全国労働者総決起集会への参加をお願いします。
団結して闘いましょう。
転載元: 群馬合同労働組合