緊急シンポジウム ウクライナ危機はなぜ? 世界は変わるのか?
ウクライナ情勢は、単にヨーロッパの問題に留まらず、国際秩序を揺るがす大きな問題となっています。欧米諸国を中心とした対ロシア経済制裁が発動され、日本も対ロシア制裁と対ウクライナ支援に乗り出そうとしています。同時に、経済的相互関係が深まっている今日、この影響は単にウクライナやロシアに留まりません。対ロシア制裁が本格化すれば、ヨーロッパ経済への影響は避けられません。それは、ユーロ圏、さらには世界の金融市場やエネルギー市場にも影響を与えかねません。
また、日本が近隣諸国との間で抱えている領土問題を考える上でも、クリミア問題について正確な認識を持たねばなりません。
今やウクライナ問題は、日本の外交やエネルギー安全保障にも関わる問題となっているのです。日本は、どう対応すべきなのでしょうか。まさにこうした時にこそ、ウクライナ情勢の「冷静な分析とバランスのとれた認識を共有する」ことが必要とされています。これは立正大学の建学の精神や「モラリスト×エキスパート」というブランドビジョンにも合致するものです。
そこで立正大学では、ユーラシア研究所、EUSI(EU Studies Institute in Tokyo)、ジャン・モネEU研究センター(慶應義塾大学)の後援、および専門家の皆様の協力を仰ぎ、「緊急シンポジウム ウクライナ危機はなぜ? 世界は変わるのか?」を企画いたしました。「冷静な分析とバランスのとれた認識を共有する」という市民の環を広げて行くためにも、さらに関係機関に本シンポジウムへの支援を呼びかけていきます。
また、日本が近隣諸国との間で抱えている領土問題を考える上でも、クリミア問題について正確な認識を持たねばなりません。
今やウクライナ問題は、日本の外交やエネルギー安全保障にも関わる問題となっているのです。日本は、どう対応すべきなのでしょうか。まさにこうした時にこそ、ウクライナ情勢の「冷静な分析とバランスのとれた認識を共有する」ことが必要とされています。これは立正大学の建学の精神や「モラリスト×エキスパート」というブランドビジョンにも合致するものです。
そこで立正大学では、ユーラシア研究所、EUSI(EU Studies Institute in Tokyo)、ジャン・モネEU研究センター(慶應義塾大学)の後援、および専門家の皆様の協力を仰ぎ、「緊急シンポジウム ウクライナ危機はなぜ? 世界は変わるのか?」を企画いたしました。「冷静な分析とバランスのとれた認識を共有する」という市民の環を広げて行くためにも、さらに関係機関に本シンポジウムへの支援を呼びかけていきます。
主 催 立正大学 後 援 ユーラシア研究所、EUSI(EU Studies Institute in Tokyo)、ジャン・モネEU研究センター(慶應義塾大学) 日 時 2014年4月21日(月) 13:30~17:30 場 所 立正大学石橋湛山記念講堂 講 師 小森田秋夫(神奈川大学法学部教授、ユーラシア研究所長) 服部倫卓(一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所次長) 藤森信吉(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員) 蓮見雄(立正大学経済学教授、ユーラシア研究所事務局長) 下斗米伸夫(法政大学法学部教授、元(財)日本国際政治学会理事長) 小泉悠(未来工学研究所研究員、軍事アナリスト) 前田弘毅(首都大学東京都市教養学部准教授) 川崎恭治(一橋大学 国際・公共政策大学院長) 石郷岡建(元日本大学総合科学研究所教授、元毎日新聞社モスクワ支局長) 石川一洋(NHK解説委員) プログラム 13:30~13:35 山崎和海(立正大学学長)主催者挨拶 <第1部 ウクライナ危機はなぜ?> 13:35~13:50 問題提起(論点整理) コーディネーター:小森田秋夫(神奈川大学法学部教授、ユーラシア研究所長) 13:50~14:00 服部倫卓(一般社団法人ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所次長) 14:00~14:10 藤森信吉(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター共同研究員) 14:10~14:20 蓮見雄(立正大学経済学教授、ユーラシア研究所事務局長) 14:20~14:30 下斗米伸夫(法政大学法学部教授、元(財)日本国際政治学会理事長) 14:40~14:50 小泉悠(未来工学研究所研究員、軍事アナリスト) 14:50~15:00 前田弘毅(首都大学東京都市教養学部准教授) 15:00~15:10 川崎恭治(一橋大学 国際公共政策大学院長) 15:10~15:20 石郷岡建(元日本大学総合科学研究所教授、元毎日新聞社モスクワ支局長) 15:20~15:30 石川一洋(NHK解説委員) <第二部 世界は変わるのか?> 15:40~17 :10 会場からの質問を踏まえて質疑応答 17:10~17:25 コーディネーターによる総括 17:25~17:30 閉会挨拶 お申し込み・お問い合わせ先 1お名前(フリガナ)、2.電話番号、3.住所、4.E-mailアドレス、5.シンポジウムで聞きたい内 容を記入し、E-mail にて下記までお申し込みください。 ※同伴者がいる場合、同伴者の氏名も明記してください。 立正大学研究推進・地域連携センター Eメールアドレス:sangakukan@ris.ac.jp..【ユーラシア研究所】http://www.yuken-jp.com/seminars/index.html
【写 真】2013年8月24日ウクライナ独立記念日に、マイダン付近のフレシャーチク通りにて撮影
ブログ管理人です。私は参加できませんが、ユーラシア研究所が後援する上記のシンポジウムがありますので、情報転送します。但し、社会主義とはあまり関係ない議論かも知れません。
<ウクライナの「政変」と「先行事例」としてのモルドバ>
私は昨年のメーデーはモルドバのキシネフに、8月のウクライナ独立記念日にはキエフのマイダン(独立広場)におりました。『ユーラシアの経済と社会』「ロシアとEUとの狭間で」特集号の関係です。私の執筆はモルドバについてですが、他にウクライナ、ベラルーシ、グルジアまで分析してあります。=>http://blogs.yahoo.co.jp/tocka_jikkoi/64603665.html
現地では色々ありましたが、特にモルドバのメーデーでは、労組のデモが突如中止となり、私は共産党デモと社民党集会に参加しました。また拙稿には反映されていませんが、今年1月JILAFがモルドバやウクライナの労組リーダーを招聘し、うち1人がドネツク炭鉱労組の所属でしたので、興味深い話が聞けました。私は毎年ユーラシア諸国の労組リーダーと意見交換していますが、ウクライナ東部にあるドネツクの人とは初めてだったからです。
ロシアとEUの狭間にある諸国では、自立的経済発展の途が模索されている訳ですが、さらに社会主義の再検討を含む、将来社会のビジョンまで共有できないと、現状の突破は困難だというのが私の結論です。実際、「生活と権利を守る」労組の活動は限界に突き当たり、それを克服しようとすると、社会主義を含む対抗戦略をめぐる論争になります。当然、「政変」後のウクライナ暫定政権や「右派セクター」も、この点を明確にしないと、例え次期選挙で勝利しても、何の展望もありません。
ウクライナにおける今回の「政変」に際し、民主労組傘下の地方支部では、「侵略主義と分離主義に反対」する集会・デモがありました。他方、ロシアの民主労組は「労働者どうしが殺し合ってはならない」との連帯声明を発表しました。但し「分離主義反対」の意味は、クリミア半島だけでなく、ソ連時代からの工業地帯である東部の分離・独立運動も警戒し、同時に民族主義・排外主義を煽る「右派セクター」や暫定政権への批判まで含むようです。
ロシア依存の産業構造をもつ東部は高賃金、農業地帯でありEUへの出稼ぎ依存の西部は低所得、全体としてソ連時代の生産力水準を未回復、政治家の腐敗・政府の無能力ゆえの闇経済―――こうした経済構造が、ウクライナの「政変」の背景にあることは知られています。但し、特殊なクリミア半島での事態は、住民の経済的利益とプーチン政権の軍事的利害が噛み合った結果でしょう。しかし、分離主義の動向が東部にまで拡大したとき、それはウクライナ労働者にとって悪夢なのです。
「先行事例」としてモルドバを見ると、ソ連時代からの工業地帯である沿ドニエストル地方が戦争の末に分離・独立し、モルドバは「欧州の最貧国」に転落しました。その後EU志向を深めた結果、労働力人口の50%近くが国外流出し、特に少女の国境を越えた「人身売買」はユネスコやILOが指摘する通りです。「サンジカリズム」の名の下に、ソ連時代からの官製労組と民主労組は組織統合しましたが、メーデーに共産党と社民党が各々デモを組織すると、労組指導部は自己分裂を避けるため、「政治的挑発を避ける」との名目で、全ての取組みを中止しました。
政治に踏み込まないサンジカリズムやロシア・EU間の中立主義は限界に直面し、グローバル金融資本による新自由主義への対抗戦略や将来社会のビジョンが、特にこの地域では鋭く問われています。小党分立にある政党政治は左右の政権交代を繰り返しながら混迷し、若者によるモルドバ暴動では死者まで出しましたが、その答は未だに見出せていません。しかし試行錯誤しつつも、実効性ある法制度を要求する大衆運動や、人権の確立を追求するNGOが台頭しているのも事実で、希望を繋いでいることは強調したいと思います。